社長ブログ

2023/09/12

1000キロのグランドツーリング

1000キロのグランドツーリング

仕事ではあるが、ここのところ最新のEVに乗る機会が増えている。先月も最新ドイツ製高級EVを用いた雑誌のタイアップ企画に立ち会ったのだが、そのEVの一番のセールスポイントは、航続距離。EVといえば当然動力や操作のすべてを電気で賄うわけだが、搭載する電池容量の大きさによって満充電で走れる距離も大きく変わってくるのだ。

例えば、20kwの電池であれば180キロ、60kwの電池であれば400キロといった具合で、各社が公表する航続距離は必ずしも一様ではないものの、容量と距離は比例して増えていく。

前置きが長くなったが今回のドイツ製最新EVは、搭載電池の容量が100kwとこれまでで最大の容量を誇り、航続距離も700キロに届かんというモデル。そこでその訴求ポイントを実証しようというのが、東京から富山までの約500キロのグランドツーリングという企画である。

航続距離はともかく、この500キロにおよぶロングドライブで何が一番印象的だったかと言えば、疲労の無さ、である。某社謹製の上位モデルだから、自動運転もとい優れた運転支援システムがあるから、などなど理由はいくつもあるだろうし、それは確かにそうだろう。

でも改めて感じたのは「音」だ。そう、ほぼ音がしないのだ。

正確には音の記憶が無いのだ。当たり前だが内燃機関特有の唸りも、マフラーから出る排気音も無い。聞こえてくるのは微かに聞こえる車体の風切り音とステレオからの音楽だけ。音による疲労は何となく想像に難くないと思うのだが、何時間もそれなりの音にさらされるクルマのロングドライブにおいて、音から解放されることがこれほどの疲労軽減につながるのだと、身を以て実感させられた。


時間にして4時間少し。トイレで停まった以外はいわゆる休憩無しのこの時間は、快適の一言。体感としては、え?もう富山?が本当のところだ。自身、4年ほど前に金沢までクルマで行った経験があるが、富山と金沢の違いはあるとはいえ、疲労の大きさは比べものにならず、これは誇張なく、充電さえ考えなければ片道500キロくらいであれば日帰りも十分可能なクルマだ。

最新の高級EVは、必要な時に必要なだけスピードが出て、運転支援システムで巡行でき、その上静かで、控えめに言って「高速道路最強」じゃないかと往復1000キロにおよぶグランドツーリングを通じて実感した。

もっとも、大容量電池であっても短時間で充電できる「急速充電器」の必要性や、そもそも充電スポットの数の拡充など、メーカー各社だけでない行政レベルで取り組むべきインフラ整備に大きな課題があるのは事実だ。

が、2日間に亘ってEVと付き合ったが、内燃機関ノスタルジーだけじゃ分からないこと、そして旅の手段としてこれも選択の1つだ、ということ。新しいことは、まずは体験することが肝要だ。

もっとも、この経験を富山出身者に話したところ、「新幹線なら2時間ちょっとで富山だよ」と身も蓋もないことを言われ、その速さに驚くとともにまず経験すべきは北陸新幹線で北陸に行くことか?というオチもついた。

果たしてEVは新たな旅の選択となり得るのか、いろいろと考えさせられた経験であった。

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