社内報コラム

音声配信ビジネスはなぜ急成長しているのか?その背景、事例、導入のメリットなど

音声配信ビジネスはなぜ急成長しているのか?その背景、事例、導入のメリットなど

YouTubeやTikTokに代表される動画配信サービスに続いて近頃注目されているのが、様々な情報や音楽、オリジナルコンテンツ等を配信する音声配信ビジネスです。

ネットのコンテンツがテキストから画像、動画、3D動画とますますリッチになってきた一方で、なぜ「聴くだけ」の音声配信ビジネスが伸びているのか。その背景や現状の動向について探ってみました。

音声配信ビジネスとは?

音声配信ビジネスとは、WEBサイトやスマートフォンアプリなどで聴ける音声コンテンツを配信するサービスを指します。

今日、音声配信サービスの市場規模は継続的に拡大しており、それに伴い企業のマーケティングの場としても注目されています。

株式会社デジタルインファクトの調査によると、2019年に7億円だった音声コンテンツの市場規模は、わずか1年後の2020年に2倍以上の16億円に拡大。さらに2025年には420億円まで膨れ上がると推計されており、今後もますます成長の余地があると見込まれています。

音声配信ビジネスの分類と代表例

音声配信ビジネスで扱われる音声コンテンツは、主に下記の6つに分類されます。それぞれの代表例と併せてご紹介しましょう。

音声配信サービス

音声コンテンツの聴取・配信ができるサービス。動画配信やコンテンツ自体のダウンロードが可能なものもあり、サービス内容は様々です。

アプリ上で録音から編集、配信まですべての作業が可能ですが、誰でも配信できるサービスと、著名人や審査に通った人しか配信できないサービスがあります。

【代表例】

・誰でも配信できるサービス:Radiotalk、Spoon、REC.、himaraya、stand.fm、Lizhiなど

・限られた人だけが配信できるサービス:Voicy、NowVoice、ZATSUDAN、GERA、VOOXなど、

インターネットラジオ

FMなどの電波ではなく、ネットを通して配信されているラジオ番組のこと。WEBラジオとも呼ばれます。

パソコンやスマートフォン、スマートスピーカーなどの端末で聴くことができ、無料版と有料版があります。音声に加えて動画や静止画を一緒に配信しているものもあります。

【代表例】
radiko、ラジオクラウド、NHKネットラジオらじる★らじる、SimulRadio、JPradio.jpなど

オーディオブック

書物の中身を音声として聴くサービス。運動や家事など他のことをしながら読書が楽しめ、デバイスの中に何冊分でも本(データ)を持ち歩くことができます。

オンラインで利用するものと、コンテンツをダウンロードしてオフラインで再生できるものがあります。

【代表例】
Audible、audiobook.jp、LibriVox、Google Play Books、flierなど

音楽ストリーミングサービス

専用アプリを使って、スマホやパソコンで音楽コンテンツが楽しめるサービス。広告が入ったり楽曲数が限定されたりする無料版と、広告なしで膨大な数の曲が楽しめる有料版(音楽サブスク)に分かれています。

音楽に加え、ポッドキャスト(後述)の多彩なコンテンツも同様に楽しめます。

【代表例】
Spotify、Amazon Music、Apple Music、LINE MUSIC、楽天ミュージックなど

ポッドキャスト

ネット上に音声ファイルなどを公開して配信する仕組み。コンテンツも語学学習やニュース、ドラマなど多岐にわたっています。

ポッドキャストの音声コンテンツはApple Podcasts、Google Podcasts、Spotify、Amazon Musicなどに配信され、様々な方法で聴けるのが特徴です。

音声SNS

視聴者が配信に参加するなど、ユーザー同士がインタラクティブに交流できるのが特徴の音声配信サービス。スマートフォンから気軽に配信でき、視聴者もアプリから聴取・参加できます。

【代表例】
Clubhouse、Spaces(Twitter)、Reddit Talk(Reddit)、Live Audio Rooms(Facebook)など

音声配信ビジネスが注目されている背景

音声配信サービスが注目され、実際に市場が拡大している背景としては次の3つが挙げられます。

「ながら」聴きの需要が増加

スマートフォンの普及により、誰でも音声や動画を手軽に楽しめる環境が整いました。これに比例するように、作業と並行してコンテンツを楽しむ「ながら」需要も増加。特に音声コンテンツは「ながら」作業と相性が良く、手軽な娯楽として人気を集めています。

デジタルデバイスの多様化

近年デジタル技術が急速に進歩し、スマートスピーカーやワイヤレスイヤホンなどが普及しました。気軽に高音質の音声が聴けるこれらのデジタルデバイスの進化が、音声コンテンツを快適に楽しむ環境を拡げ、ユーザー増につながっています。

生活様式の変化

コロナ禍による「おうち時間」の増加も、音声配信ビジネスの普及に寄与しました。仕事中や勉強中でも気兼ねなく音声コンテンツを楽しめるためです。

また、リモートワークやステイホームでは孤独を感じる人も多く、音声コンテンツの配信で誰かとのつながりを感じられることが、ブームを後押しした面もあります。

音声配信ビジネスを導入するメリット

ビジネスとしての音声配信の導入には次のようなメリットがあります。

気軽に始められて、続けやすい

音声コンテンツの配信は、ネット環境とスマホさえあれば誰もが気軽に始められます。そして編集の負担も少ないため、マーケティングに活用したい企業にとっては、手軽にユーザーとのタッチポイントを作れます。

また、「話すだけ」でコンテンツが作れるため、テキストや動画に比べて制作のハードルが低くなり、継続しやすいのもメリットです。

制作コストが低い

音声コンテンツの配信は、初期費用がほとんど必要ありません。また、動画に比べて編集作業もシンプルなため、制作コストも全般的に安く抑えることができます。

制作コストが低ければリターンが少なくても収益を上げやすいため、予算に制約がある場合は動画よりも音声コンテンツの方にメリットがあります。

リスナーとの心理的距離が近い

音声コンテンツには、リスナーの耳に直接声が届くことで生じる独特の“心理的距離の近さ”があり、ファンの獲得と絆の育成に効果を発揮します。

また、動画広告に比べてスキップされにくい傾向が強く、接触回数を多く持てることから高い費用対効果が期待できます。

収益化の仕組みが整い始めている

音声コンテンツの配信によって収益を上げる仕組みも整ってきました。代表的な方法には次の5つがあります。

A)商品を紹介してアフィリエイトを得る

配信の中で特定の商品やサービスを紹介し、アフィリエイト料で収益を得る方法。リンクを張るだけなのですぐにでも実現できます。

B)投げ銭を集める

リスナーから配信者へ贈られるプレゼントを「投げ銭」と呼びます。投げ銭はプラットフォーム毎にポイント形式で貯蓄され、一定額まで増えると現金に換金できます。

C)有料チャンネルになる

番組を有料化して収益を得る方法。「課金してでも聴きたい」と思わせるだけの魅力があるかどうかがポイントです。

D)コンテンツとして販売する

番組全体ではなく、特定の配信だけを有料のコンテンツとして販売することもできます。

E)広告掲載料を得る

上級者になればスポンサーをつけて広告掲載料を得ることも可能です。

まとめ

「聴く」という動作には、他の動作と並行して行えるという大きな利点があります。そして総務省の調査*によると、平日や休日のうち「仕事」「勉強」「運動」が占める時間は6時間以上あり、まさに音声による「ながらメディア」向きの時間だと言えるでしょう。

新たな商機開拓の場として、音声配信ビジネスの導入による「耳」へのアプローチを検討してみてはいかがでしょうか。

*総務省統計局「平成28年社会生活基本調査(2017年12月22日)」

 

※関連記事「注目のラジオ社内報 社内コミュニケーション課題を音声で解決?

社内報に関するご相談、問い合わせはこちらから

関連記事