社内報コラム

失敗しないための社内報デザインの考え方

失敗しないための社内報デザインの考え方

社内報のデザインを考えるときの要点や注意点などを「社内報のデザインについて」にてお伝えしましたが、他にも社内報のデザインに関する大きなお悩みとして「どのような雰囲気にすれば良いのかわからない」または「どのように考えていけば良いのかがわからない」といった、デザインの方向性や考えるプロセスをあげられる方が非常に多くいます。

そこで今回の記事では、社内報のデザインを考えるときに役立ち、さらには失敗しないデザインにするために役立つ、社内報のデザインの「パターン」とデザインを考えていく「流れ」についてお伝えします。

社内報のデザインは8つの要素でできている

社内報のデザインは基本的に、読みやすい文字のサイズや形状、配置にすることを踏まえながら、特集やさまざまなコンテンツのテーマ、ねらい、読後感など企画で考えたことをもとに、文字、写真、枠、図形、表、イラスト、線、余白といった、8つの要素で構成していきます。

社内報のデザインを考えるとことは、8つの要素を複合的に扱いながら、伝えるべきことが伝わると同時に、社員の方に「読んでみたい」という気持ちになってもらえるように、それぞれの形、サイズ、色と最適な関連性を考えながら配置するなのです。

社内報のデザインを考えることはものすごく難しいことに感じられますが実はいくつかのパターンさえ押さえていれば、あまり難しく考えることなくデザインを作ることができます。

3つの読まれる社内報デザインパターン

詳しく説明するとどこまでも難しく感じてしまう社内報のデザインですが、実はいくつかのデザインのパターンと考える流れを知っていれば、それほど悩む必要はありません。

社内報のデザインは表紙を除くと3つのパターンだけでできています。

社内報のデザインのパターン

  • 人を通じて活動を伝えるパターン
  • 活動を通じて人を伝えるパターン
  • 人または活動のみを伝えるパターン
人を通じて活動を伝えるパターン

まず人の写真が目に入り、見出しや本文などの文章、本文の中や脇に置く枠内に、その方の活動や考え、想いなどを配置されています。

見た目としては「誰か」が「何か」を語っているといったデザインで、社長が語り掛けるような見せ方のトップメッセージや、事業の責任者の方々が事業の方針や目標、計画を説明する記事のほか、現場で頑張る社員の方々の活動を伝える記事、社員の皆さまの趣味や好きなモノを紹介するコミュニケーション系の記事などが該当します。

活動を通じて人を伝えるパターン

このパターンは①とは逆の見せ方で、まず活動内容を紹介した上で、その活動に関連する人たちのコメントを掲載するパターンです。

見た目としては「何か」について「誰か」が語っているといったデザインで、活動に関連する写真や製品の写真が目に入り、読み進める先に本文の内容を語っている人の写真が配置されていたり、本文の脇や最後にその活動や製品などに関連する人たちの写真やコメントが記載されています。

人または活動のみを伝えるパターン

主に新入社員紹介や新任役員紹介など、写真とコメントで人そのものを伝える人紹介系のコンテンツと、ニュースや製品・サービスの概要解説のほか、経営方針や中期経営計画の解説などが該当します。

つまり①の「誰か」が「何か」を紹介する展開や②の「何か」について「誰か」が語る記事以外のものはすべて③のパターンとなります。

2択の繰り返しでイメージを煮詰めていく

パターンが決まったら、次は企画の内容に合わせて誌面の雰囲気を考えていきます。
どのような見え方であれば多くの読者に企画の意図が伝わる紙面になるのかイメージしながら、6つの観点についてそれぞれAなのかBなのかと考えながらイメージをカタチにします。

6つの観点

  • シンプルorにぎやか
  • 軽やかor重厚
  • カジュアルorフォーマル
  • スマートorかわいい
  • アクティブor落ち着き
  • クールorウォーム

ちなみにこの6つの観点はデザインの用語で「トーン&マナー」の「トーン」のことを指しています。

「トーン&マナー」を取り入れた社内報についてはこちらへ

シンプルorにぎやか

この観点は誌面に載せる情報の切り口の数とも関係するので、企画が決まってからだけではなく、企画を考えるときにも持っておくべき観点ですデザインとしては主に丁寧に伝えたい場合は「シンプル」を、ワイガヤ感を醸し出したいときは「にぎやか」を選びます。

軽快or重厚

こちらは記事のメッセージや趣旨との関連性が強い観点で、人の想いについて、フレッシュな動きや活躍する人の前向きな挑戦への意識などを伝えたい場合は「軽やか」を選び、責任感や使命感、仕事に対するこだわりなど、心の奥底に宿る情熱などを語る記事の場合は「重厚」を選ぶことが一般的です。

動的or静的

こちらも②と同様、記事のメッセージや趣旨を踏まえて選ぶことがポイントとなる観点なのですが、②が記事の重みを考える観点であることに対して③は記事の展開の動きを考える観点となります。基本的には事業活動やプロジェクトなどの取り組みは躍動感を感じさせるために「動的」を選び、人の考え方を伝えるテーマの場合は「静的」を選びます。

カジュアルorフォーマル

この二つは装いの方向を考える観点で、カジュアルな内容はカジュアルに、フォーマルな内容はフォーマルにといった考え方が一般的です。ただ、フォーマルな内容をフォーマルな印象で伝えると読まれなくなる恐れがあるので、デザインとしてはカジュアルな印象にしたり、その逆を考えたりといったように、少し戦術性を持って選ぶことが求められます。

ナチュラルorスマート

こちらは親しみやすさの度合いを考える観点で、記事から感じる風合いを選ぶ観点となります。イメージとしてはナチュラルが柔らかい風合いのデザインで、スマートがややかしこまった風合いのデザインとなります。

クールorウォーム

最後は誌面から感じる温度感を考える観点で、主に色に関係した観点となります。社内報の場合はカラーリングを季節感で選ぶことも多いのですが、理知的な内容を理知的に伝える場合はクールを選んで寒色系の色を、ハートフルな内容を踏まえて見た目にも温かみを感じさせたい場合はウォームを選んで暖色系の色を選択します。

コーナーごとの個性を出しながら冊子全体の統一性も大切にする

特集や連載コーナーなどコンテンツごとの特徴や個性を出すことばかり優先すると、関心を惹きつけるチカラが極めて弱くなり、冊子全体のデザインのイメージがバラバラになってしまいます。その結果社内報が冊子としてのメッセージ性や意図を持たない社内情報を寄せ集めた回覧板や、いろいろなネタを詰め込んだ雑居ビルのようなものになってしまう可能性があります。

まず、コンテンツごとにデザインを考える前には、各コンテンツに共通させるデザインの軸を考える必要があります。

社内報が社員の方にとってどのような意味を持つツールなのか、社内報を何のためのツールだと認識してもらうのかを考えます。

そして各コンテンツのデザインと同じように、6つの観点でトーンを考えると、冊子全体のデザインの軸が生まれます。

その軸を基準に各コンテンツのデザインで、企画に基づいた3つのパターンを選び6つの観点で方向性を定めていくと、統一感がありつつコンテンツごとに個性のある冊子にすることが可能となります。

まとめ

社内報のデザインは真っ白なキャンバスに絵を描くように、ページで分かれた真っ白な紙を前にして、企画に合わせて記事をしたためていく作業です。

どこから手を付ければ良いのかわからないという担当者の悩みはありますが3つのパターンや6つの観点を知っていれば、誌面に何かを「描く」のではなく、どれにするかを「選ぶ」といった考え方でデザインを進めていくことができます。

読者の関心を惹くことができる企画であることが企画に合った選択は必要なため、決して容易なことではありませんが、選んで作る場合は毎回ゼロから作るものとは異なり、PDCAを回すことが可能となります。

ぜひ今回の記事を参考にし考えたデザインが結果につながったのかの検証と改善を繰り返しながら、より良い社内報づくりを目指し続けていただければ嬉しく思います。

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