社内報コラム

2023/05/31

読まれる社内報の企画を考えるための「発想力」の鍛え方

読まれる社内報の企画を考えるための「発想力」の鍛え方

社内報づくりで企画を考えるときに、なかなか良いアイデアが思いつかなく、「私には良い企画や面白い企画を考える才能や能力がないのかも」と感じたり、悩んだりすることはないですか?
今回の記事では、読まれる社内報にするための企画に役立つアイデアを出す方法や、良いアイデアを思いつくチカラである「発想力」についてお伝えするとともに、それを手に入れたりトレーニングしたりする方法についてお伝えします。

企画は読者である従業員の皆さまを知ることが最も重要

企画を立てたり、企画力を高めるためには「ターゲット」「テーマ」「タイミング」の3つのTで考えるなどと言ったりします。結論からお伝えしますと、社内報がたくさんの従業員の皆さまに読まれたり、大切に感じていただけたりするようになる企画を立てるためには、3つのTのなかの「ターゲット」である従業員の皆さまのことや「タイミング」である、従業員の皆さまの状況を知っておくことが、何よりも重要です。
これについてはどなたも至極当たり前のことだと感じられると思います。

ただ、ターゲットやタイミングを知ることに、どれだけの時間や労力を割いていますか?

もちろん定期的に読者アンケートでそれらを知るようにされているご担当者は多いと思います。けれども、読者アンケートでターゲットやタイミングを適切に理解していると言えることは少ないのではないでしょうか?

その理由は、日々の業務が忙しく、ターゲットやタイミングを知るために、十分な時間や労力がかけられないといった感じではないでしょうか?
これと同じように、企画を立てることについても、十分な時間を割くことができないというご担当者さんは、たくさんいらっしゃいます。
ただ、今回お伝えする「発想力」を高めることができると、ターゲットやタイミングを知るということの重要性はもとより、企画を立てることに、時間や労力を十分にかけられていないという問題を解消することも可能となります。
さて、ここからはこの結論を踏まえて、良い企画を立てるための「発想力」について、どのようにしてその能力を高めていけば良いのかについてお伝えします。

企画を立てるための発想力は訓練で手に入れられる

良い企画や面白い企画を考えることができる人のことを、「発想力」がある人だと言ったりします。
そして、「発想力」は才能や能力は天性のものだと考えられたりします。
けれども、良い企画や面白い企画を考えることができる「発想力」は、決して才能や天性によるものではなく、一定の知識と方法と経験と感性と意欲があり、ある程度の訓練を行えば、誰でも身につけることができる能力であり、誰もが再現可能な技術なのです。

発想の起点は取り扱うテーマを自らしっかり理解すること

ここからは「発想」について、再現や訓練が可能な技術として解説してまいります。
まず、社内報の企画を立てるときに、取り扱う「テーマ」について、どうすれば読者にわかりやすく伝えたり、興味を持ってもらったりすることができるかと考えると思います。

先にお伝えすると、企画を立てる際のスタート地点で、このように考えると良い発想は出てきません。
そこで、まず何をすれば良いのかということですが、それは、取り扱うテーマについて、自らがしっかり理解することです。
自らが理解していないことを、社内報というツールでたくさんの人に、わかりやすく、興味深く伝えることができないことはご理解いただけると思います。

「発想」を技術として扱う起点は、繰り返しになりますが、どのように伝えるかを考えるよりも、まずは取り扱うテーマに関する情報や知識を得て、しっかり理解することなのです。

理解は個人的な興味・関心が持てる程度まで掘り下げる

ただ、しっかり理解することが大切だと言っても、社内報で取り扱うテーマは、理解すべき範囲が広かったり、専門性が高い内容のものも少なくありません。また、日々の業務が忙しいなかで、取り扱うテーマについて学ぶ時間を確保することも、決して容易ではありません。

では、どれだけ理解すれば良いのか。それは、取り扱うテーマについて、心やお腹の中から個人的な興味や関心が沸いて出てくるところまでです。
その理由は、そこまで理解を進めると、自然とそのテーマについて理解するために必要な情報や知識が、目や耳に入ってくるようになるからです。

カラーバス効果で理解の深化を自動化する

この現象は、認知心理学や社会心理学の世界で「カラーバス効果」と言われる、人が見たいものだけを見がちだという認知バイアスの一つ。

認知バイアスはネガティブに捉えられることが多いのですが、それを逆手にとって活用することも可能で、企画を専門とする人の多くは、企画を考えるためのスタート段階で、この原理や心理、現象を上手に取り入れて、取り扱うテーマに対する自らの興味や関心といった個人的な好奇心を育み、全く意識ことなく自動的かつスピーディに情報を得ることができる仕組みを作ります。

自分自身が感じている興味や関心のポイントを書き出す

個人的な興味や関心が持てるまでテーマについて理解すると、関連する情報が次々に目や耳に入ってきます。
ここまでに至ると、意識をしなくても理解がどんどん深まっていきます。そして、あとは企画の承認を得る期限までに、その情報や知識を人に伝えるための方法を企画書にまとめていけば良いという段階に入ります。

とは言っても、限られた誌面やWebの画面を通して、頭の中にある膨大な情報や知識を他の人にわかりやすく、興味深く伝えることもまた、決して容易ではありません。

そこで、企画書づくりに入る前にまずやることは、取り扱うテーマについて、自分自身がどのような点に興味や関心があるのかを、改めて振り返って書き出していくことをおすすめします。

伝えることで生み出したい効果を考えながら着眼点を集めて捨てる

この、自分自身の興味や関心の点のことを「着眼点」と言います。
先ほどお伝えした企画書づくりに入る前に、まずは自分自身がどのような点に興味や関心があるのかを振り返って書き出すことは、人が興味や関心を持つ点である「着眼点」を洗い出すということなのです。

ただし着眼点が多すぎると、情報が錯そうしてしまうなど、情報を受け取る相手が混乱してしまいかねません。
そこで、着眼点を洗い出した後は、その着眼点を捨てる作業に入ります。
では、どのようにして着眼点を捨てていくのか。

それは、その情報を受け取る相手の状況と、興味や関心を持つポイントや癖といった嗜好の傾向と、情報を伝える相手にその情報を伝えることで起こしたい変化、つまり企画のねらいや効果を基準にして行います。

絞り込んだ着眼点をもとに伝えるための「切り口」を考える

たくさん洗い出した着眼点を捨てるための基準、つまり捨てるためか否かを測るモノサシとして、相手の嗜好の傾向や状況と、企画で目指すねらいや効果の二つの視点を持つと、たとえ魅力的な着眼点がたくさんあったとしても、気兼ねなく捨てることができたり、絞り込んだりことができます。
ここまで進めて来られると、あとは相手が自ら興味や関心を示す、相手がワクワクする伝え方を考える段階に入ります。
この、相手がワクワクする伝え方のことを、伝え方の「切り口」と言い、これをビジネス調の言葉で言い換えると、相手の嗜好の傾向や状況で考える、伝えるべき情報を伝えるための具体的な方法論となります。

なお、伝え方の切り口は無数にあるため、具体的に示すことはできないのですが、一例をあげると、社内報でよく行う「座談会」や「対談」、「読者アンケート」、「有識者コメント」などの、テーマに関する情報やコメントを得る手法や、「マンガ」「Q&A」「ドキュメンタリー」「キャッチーな数字」「キャラクターによる解説」といった見せ方のテクニックは、いずれも伝え方の「切り口」です。

スタート地点に立つ前に伝える相手を知っていることが重要

ここで発想を技術として取り入れるための重要なポイントを改めてお伝えします。

それは着眼点の取捨選択を行うときも、伝えるための切り口を考えるときも、いずれも伝える相手の嗜好の傾向や状況を捉えて考えるという点です。
この点を踏まえて、良い企画を立てたり企画書をつくったりするための発想の技術について整理すると、まず、取り扱うテーマについて、自分自身が興味や関心を持てるレベルまで理解する。つぎにテーマに対する自分自身の興味や関心を着眼点として洗い出す。そしてその着眼点を、伝える相手の嗜好の傾向や状況と、企画のねらいや目指す効果をもとに取捨選択する。そして、残った着眼点に対して、伝える相手の嗜好の傾向や状況をもとに、伝える切り口を考える。

つまり、企画を立てるための発想のスタート地点は、取り扱うテーマを理解することですが、そのスタート地点に立つためには、それ以前に伝える相手である社内報の読者、自社の社員の嗜好の傾向や状況を捉えておくことが重要なのです。

良い企画を立てるためのターゲットとタイミングを知る方法

最後に、最も重要とお伝えした、相手の嗜好の傾向や状況、つまり「ターゲット」と「タイミング」を知る方法についてお伝えします。
一般的な方法としては読者アンケートがあります。

ただ、冒頭でもお伝えしましたが、読者アンケートだけで相手である従業員の皆さまの思考の傾向や状況を把握することは難しいと思います。
もちろん、読者アンケートがムダだと言っているわけではなく、むしろ読まれる社内報にするためには極めて重要です。
ただし、アンケートから得られることは確実性ではなく可能性や仮説です。

読者である従業員の皆さまの嗜好の傾向や状況を深く理解していくためには、この可能性や仮説をもって、機会があるごとに従業員の方々に「聴く」ことです。

その機会とは、同僚や社内の知人、業務上の関係者、他部署の同期など、さまざまな社内人脈をはじめ、取材などのタイミングがあげられます。
そして、この取り組みこそが、従業員の皆さまに読まれる社内報にする企画を立てる豊かな発想や発想力を手に入れるための、最も早くて確実なことなのです。

まとめ

補足になりますが、考えた企画が良い企画だったのかどうかについても、従業員の皆さまに直接聴くことをおすすめします。もちろん読者アンケートで聞けなくはないのですが、読者アンケートは可能性や仮説を立てるためのデータを得ることはできても、読者の本音まではなかなか聞けません。ぜひ、発想力を豊かに素晴らしい企画を立てるためにも、お伝えしてきました発想の技術を、今回お伝えした方法で手に入れていただくとともに、より良い社内報づくりに向けて、読者と直接コミュニケーションを図る機会を設けてみてください。

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