社内報コラム

社内報のラフデザインを描く目的と描き方のコツ

社内報のラフデザインを描く目的と描き方のコツ

皆さんは社内報のページデザインを考える際に「ラフデザイン(以下、ラフ)」を描いていますか?

描いていない方や、描いているけど上手に描けない方、それなりに描いているけどもっとレベルを高めたいと考えている方は、ぜひ今回の記事でラフを描くコツについて学んでいただければと思います。

ラフとはアイデアやイメージを見える化するメモのこと

ラフは社内報などのデザインを考える際に、見せ方のイメージや見出し・本文をはじめとする文字要素、写真、図表などの配置を「見える」状態にするメモのようなものです。

デザインイメージを描き留めたりするメモのようなものから、仮のタイトルや写真などを用いた、デザインの最終形、完成形に近い状態のものなど、制作工程の状況や制作進行の段階によってその意味や何を指しているのかは異なってきます。

今回の記事では、企画やアイデア出しの初期段階で必要となるサムネイル(以下、サムネ)と呼ばれるラフの描き方についてお伝えします。

失敗しないための社内報デザインの考え方についてはこちらへ

サムネイルの目的と効果

まずはサムネを描く目的と効果についてお伝えします。

主に

① コミュニケーションをスムーズにする

② 制作業務の効率を高める

③ デザインの品質を高める

④ 情報量の過不足を確認する

⑤ 企画案の成否を確認する

⑥ 読後感を確認する

です。

①コミュニケーションをスムーズにする

サムネは言葉では伝えきれないノンバーバル(非言語的)な情報を絵にすることで、さまざまな方とイメージを共有する役割があります。

デザイナーに依頼したり、上司などにデザインイメージを報告する際、自分がイメージしたことを的確かつ速やかに、齟齬(そご)を少なく伝えるために、サムネは極めて重要な情報共有ツールとなります。

②制作業務の効率を高める

①でお伝えしたように、デザインに関するコミュニケーションの齟齬を防ぐ、つまりデザインの出し戻しの回数を大幅に減らすといった点で業務の効率性を高めてくれます。

サムネの無い状況でデザインに取り掛かると、当初考えていたことやイメージしたことを忘れてしまったり、イメージしたことの不備を事前に確認することなく制作が進んでしまい、デザインの途中段階で不都合が見つかったりして、それまでにやったことがムダになるといったことが起こります。サムネはこういった業務効率を大幅に下げる要因を排除する効果があります。

③デザインの品質を高める

イメージを描き出してみると、企画段階で想定していたデザインにすることが難しいことがわかる場合があったり、或いは当初考えていたイメージよりももっと良いアイデアが浮かぶこともあります。

このように、イメージしたことをサムネに描くことで、不備に気づいたり、当初のアイデアを超えて、もっと良いものに拡がったりするため、デザイン品質を高める効果を得ることができます。

④情報量の過不足を確認する

企画したことをサムネに描くことで、デザインのみならず企画の不備に気づくことも少なくありません。特に企画段階では想定しきれない「情報量」の過不足について、しっかり確認することができます。

⑤企画案の成否を確認する

掲載したい情報が得られるかどうか不明な場合、その情報元となる方に確認を取ります。その際、文書のみの企画書ではなく、サムネといった誌面イメージがあると、掲載したい情報が本当に掲載できるのかどうか、どの程度可能なのかをその方に確認することができます。

⑥読後感を確認する

サムネは企画したことをデザインにするためのシミュレーションです。その際に④や⑤の効果を得るだけではなく、実際に企画を視覚的に描き出すことで、どのような印象のデザインになるのか。つまり「読後感」も確認したり検証したりすることが可能となります。

サムネの描き方と描くコツ

サムネには社内報のデザイン制作業務レベルを高める数多くの効果があることはご理解いただけたかと思います。

ここからは、そういったさまざまな目的や効果を踏まえたサムネの描き方のコツについてお伝えします。

たくさん描きながらアイデアを拡げる

・まずは白紙を方眼紙にする

・ゾーニングという考え方で整理する

・流れとリズムと重心を意識する

・冊子の一部という意識を持って描く

たくさん描きながらアイデアを拡げる

「サムネイル」とは日本語で親指(thum)の爪(nail)のこと。つまりサムネとは、アイデアやイメージしたことを、親指の爪のような小さなスペースにサラッと描き留めておく、極々簡易なメモのようなことを意味します。

より良いデザインにするために最も大切なことは、絵の上手さではなく、親指の爪に描く程度の簡易なものという認識でアイデアを数多く出すことです。

まずは白紙を方眼紙にする

冊子の誌面やWebのデザインは、真っ白なキャンバスに思いのままに絵を描くのではなく、基準となる方眼紙の枠に掲載する情報を組んでいくものです。

方眼紙とは、本文の段組みなど予め決めておいた誌面のルールが基準となります。

サムネを描く際にも、まずは本文の段組みを方眼紙としてイメージすることで、白紙の紙に枠が見えてきますので、その枠をもとに配置する情報の流れや量、大きさ、バランスを、企画案をもとに考えながら描いていきます。

ゾーニングという考え方で整理する

ゾーニングとはゾーンを決めるという意味です。スーパーやコンビニの棚割りをイメージしてみてください。

お店では野菜やお肉など売り場や棚で分けて売られています。お客様が買いやすいように、野菜、魚、お肉、加工品といった順番でグループ分けされています。

誌面構成の考え方も同じで、掲載する情報を伝える意図や内容を基にいくつかのグループに分けて、どのような順番に配置すれば読みやすいのかといったことや、重要な情報をいかに目に留まらせるかといった点を他のグループとの関係を基に展開させていくかを、前述の方眼紙での配置をイメージしていきます。

流れとリズムと重心を意識する

サムネは掲載するそれぞれの情報を、どのようなサイズやバランスで配置するのかを描き記していくものです。その際にページ全体の流れやリズムと重心を意識すると、動きが感じられるデザインになります。

流れとは読み手が情報を見る順番のことで、これらをわかりやすく伝えることを意識するとともに、読者の興味を惹く写真や図、見出しなどを最初に持ってきて、そこからその他の情報をどのようにつなげていくかを考えていきます。

リズムは読み手が気持ち良く読み進めるための抑揚をいかに持たせていくかということ。ポイントとして情報を淡々と並べるのではなく、情報の流れに波をつくるようなイメージで描いていきます。

最後に重心ですが、これは誌面に動きが感じられるようにするために重要で、一般的に大きな写真などを誌面の上に置き、小さな写真やコラムなどを誌面の下に置きます。そうすることで重心が誌面の上部に置かれるため、何となく不安定な印象になり、それによって動きが感じられ、人の目や興味を惹く効果を生み出します。

冊子の一部という意識を持って描く

構成を考えるコンテンツが1ページや見開きの場合、ついその対象ページだけでデザインのイメージを考えがちになります。ただ、そのコンテンツは全体の中の一部ですので、それだけでデザインを考えると、冊子全体としての流れを悪くしてしまう場合があります。

読み手に冊子全体を気持ちよく読み進めていただくためには、全体の流れのなかでコンテンツ間の違いを持たせることが大切です。サムネを描く場合もそういった意識を持ちながら考えることで、全体のつくりとコンテンツ単体の両面から、デザインを良くしていくことができるようになります。

大切なことはまず「描いてみる」こと

サムネは自分だけではなく、上司やデザイナー、取材協力者などさまざまな人たちと、作りたいデザインイメージを共有するものです。つい上手に描こうと思ったり、上手に描けないから文書や口頭で伝えようと思いがちです。

ただ、サムネを描く目的や効果でお伝えした通り、より良い社内報づくりのみならず、業務レベルを高める上でも非常に重要ですので、上手い下手関係なく、まずは描いてみることが何よりも大切です。

一つの企画に対して複数のアイデアを描いたり、特集や単発のコンテンツを組むたびに、何度も何度も描いていくことで、サムネを描くスピードはもちろん、デザインアイデアもどんどん広がっていきます。

そういった社内報担当者としてのレベルアップや成長といった観点でも、サムネを描くことは有意義ですので、ぜひ気を張ることなく、子どもたちが思いのままにお絵描きをするように描いていただけると良いと思います。

まとめ

今回は社内報制作において初期のラフづくりとなる「サムネイル」について、描き方やそのコツなどをお伝えしてまいりました。

さまざまな調整に多くの時間を使う社内報制作でも、“もっとクリエイティブな働き方をしたい”と感じていらっしゃる方は、ぜひ業務の中にサムネを描くことを加えてみてください。そうすることで社内報制作がもっと楽しく、クリエイティブな仕事になると思います。

 

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