社内報コラム

【読まれる見出しの基礎知識6】 見出しづくりのテクニックを知る

【読まれる見出しの基礎知識6】 見出しづくりのテクニックを知る

見出しに関するお悩みを解決することを目的に、社内報の見出しの考え方やつくり方の概要だけではなく、考えるタイミングや理解しておくべき役割、見出しをつくるテクニック、見出しの見せ方などについて、じっくり全7回にわけてお伝えしています。

6回目となる今回は、読まれる社内報にするために役立つ「見出しづくりのテクニック」について、読者の興味や関心を惹きつけるためのポイントお伝えします。

記事を要約しただけの見出しでは読まれない

読まれる記事にするためには、記事を読むことで何らかの「価値」を得られると感じられるようにすることが必要となります。

前回もお伝えしましたが、読む価値が感じられる見出しとは、記事の内容を知ることができるのはもちろんですが、従業員の皆さまの気持ちや情緒に届くことが大切です。

社内報の見出しは、通常の見出しのテクニックとして紹介されている「記事の内容を要約する」「結論を示す」だけでは不十分で、従業員の皆さまが記事を読む前に、「この記事を読むと、きっと〇〇を知ることができるだろう」とわかるだけでなく、「この記事を読むと、きっと〇〇な気持ちを得ることができるだろう」と想像して、期待が高まるように作ることがポイントです。

読む価値を感じる見出しづくりは「さしすせそ」

読者が価値を感じる見出しの作り方のコツは、料理と同じ「さしすせそ」で表すことができます。

さ:さすが
し:知れて良かった
す:すごい、ステキ
せ:センスがいい
そ:そうだったんだ

これらはいずれも「読後感」を表しており、それぞれが読者の「読みたい」につながる情緒性のベネフィット(価値)と関連しています。

「さすが」は高揚感や優越感、
「知れて良かった」は安心感、
「すごい」や「ステキ」は特別感、
「センスがいい」は連帯感、
「そうだったんだ」は安心感や連帯感などです。

では、実際に「さ」「し」「す」「せ」「そ」を用いた見出しの作り方のポイントについてお伝えしていきます。
今回は、社内報でSDGsの取り組みを紹介する記事を例にご紹介してみます。
まずはNGの例。

SDGs NG見出し

当社のSDGsの取り組み

いかがでしょうか?

この例は何も間違ったことは言っていないのですが、感情に響くかと問われると、きっと響かないと思います。
では、これをどのようにして、従業員の皆さまの感情に響く見出しにするのか、「さしすせそ」を、ひとつずつご紹介します。

① 見出しの「さしすせそ」/「さすが」

SDGsで輝く私たちのポテンシャル

いかがでしょうか?

この見出しの特徴は、SDGsというやや難しそうなテーマを示しながら「輝く」という視覚的にイメージできるキーワードを入れている点と、「ポテンシャル」というキーワードによって会社や従業員が持っている共通のチカラ、そのチカラが社会に役立っていることを伝えようとしている記事だと示唆している点です。何らかの「さすが」だと感じる内容を知ることができる前向きな記事だと読み取れると思います。

② 見出しの「さしすせそ」/「知れてよかった」

「知れたよかった」は主に、知っておかないといけないことだけれど、いまいち良くわかっていないという実感を持つ従業員に強く響かせる効果が期待できるテクニックです。

誰にも聞けない? SDGsと私たちの未来

この見出しのポイントは、「知らないことを知れる」ことを端的に示すことに加えて、「誰にも聞けない」と「SDGsと私たちの未来」の間に「?」を入れていること。

疑問を見出しに直接加えることは、一般的なテクニックとしても紹介されている非常に有効な方法ですが、社内報の場合は知らないことを否定するようなアプローチは望ましくありません。そこで「?」を加えることで、そのニュアンスをやわらげる工夫をしています。

また、冒頭の「誰にも聞けない」も、一般的な見出しの場合はタイムリー性を重視する必要があるため、「いまさら聞けない」としがちです。

ただ、やや攻撃的な印象になるため、社内報としては望ましくないと判断して、「誰にも」に置き換えています。

このように、一般的な見出しづくりのテクニックに対して、社内報の見出しづくりは、従業員の皆さまの気持ちに配慮することが重要なポイントとなります。

③ 見出しの「さしすせそ」/「すごい」「ステキ」

「すごい」や「ステキ」などの読後感が得られる期待を醸し出す見出しの例です。

世界とつながる! SDGsへの私たちの挑戦

「世界」という規模感や、「挑戦」という躍動感を用いることがポイントです。

もちろん、広くグローバルに展開する事業を行っているわけではない会社でも、例えば地元に密着して、その地域や地域で暮らす人たちに関連する社会課題の解決に貢献されている場合、従業員に共有されている価値観にフォーカスして、「地域」という従業員が大切にしたい対象をキーワードに加えても同様の効果が得られます

④ 見出しの「さしすせそ」/「センスがいい」を届ける

「センスがいい」を見出しに取り入れる機会は、従業員の仕事やプライベートについて「感性」や「思い」に着目して紹介する場合に有効です。

SDGs-未来とつながる私の決定的瞬間

SDGsを社内報で紹介する企画の際、SDGsを対象とする事業や活動がまだ始まったばかりで社内報で紹介できる成果がなく、従業員が登場する記事を作れないということも多いと思います。

ただ、SDGsについては事業としてだけではなく、日々の生活のなかでも意識しながら、少しずつ取り組んでいる方はいらっしゃいます。

この例では、身近な取り組みをきっかけにSDGsの理解を深めていくことをねらいとし、すでに取り組んでいる従業員に取り組みを始めたきっかけや取り組みに対する思いを紹介する内容を想定しまいた。

⑤ 見出しの「さしすせそ」/「そうだったんだ」

SDGsで変わる、社会と未来と私たちの仕事

「知れて良かった」のニュアンスと少し近いですが、「し」が知りたいテーマやキーワードの紹介を示唆する表現になっていることに対して、「そうだったんだ」は、従業員の考察を深めることをねらう企画につける見出しとして有効です。

テーマについて、その結果どうなるのかや正しい考え方や新鮮な見方が得られたり、影響まで幅広く知ることができることを示唆する表現にします。

「さ」「し」「す」「せ」「そ」で読者の幅を広げる


今回の記事では、見出しづくりのテクニックをお伝えしましたが、ご紹介した「さ」は「さすが」だけではなく、「し」や「す」の期待感も含まれています。

このように、「さ」「し」「す」「せ」「そ」のいずれかに着目して考えられた見出しは、結果的に、そのほかの価値を醸し出す見出しにもなり、社内報に対するさまざまな期待感に応える見出しになる可能性が大きく、その結果として「読んでみよう」と思っていただける対象が広がっていきます。

見出しづくりにお悩みをお持ちのご担当者は、ぜひ今回の記事でお伝えした「さ」「し」「す」「せ」「そ」をヒントに、魅力的な見出しづくりにチャレンジしてみてください。

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