社内報コラム

【読まれる見出しの基礎知識4】考え方の事例付き!見出しの種類とそれぞれの活用法を知る

【読まれる見出しの基礎知識4】考え方の事例付き!見出しの種類とそれぞれの活用法を知る

見出しに関するお悩み解決を目的に、社内報の見出しの考え方やつくり方の概要だけではなく、考えるタイミングや理解しておくべき役割、見出しをつくるテクニック、見出しの見せ方などについて、じっくり全7回にわけてお伝えしています。

4回目となる今回は、知るだけで見出しのレベルアップが図れる「見出しの種類とそれぞれの活用法」についてです。

具体的な企画を事例に見出しを考えてみよう

「【読まれる見出しの基礎知識1】「見出しづくり」が身につく6つのステップ」でお伝えした通り、見出しにはいろいろな種類があります。

そこで、見出しの種類ごとの役割や活用方法、注意点について、具体的な企画をベースにした見出しの事例をもとに、ご紹介していきます。

「働き方改革」の企画を下記のように想定し、それぞれ見出しを検討していきます。

企画例

<テーマ>
働き方改革


<ねらい>

今後のより良い働き方に関する主体的な創意工夫を促すとともに、未来に向けて変化することに対する一人ひとりの積極的な意識や行動の変容を促し、新しいことにチャレンジする風土の醸成、活性化の一助にする。


<概要>

新しい生活様式にともない、在宅勤務やリモートワークをはじめ、さまざまな現場で取り入れられている新しい働き方や多様な働き方に関する情報を集め、これからの一人ひとりの働き方改革に役立つ情報として伝える。


<展開>
① 全社員アンケートで働き方の変化に関する意識や感覚、悩みなどと、生産性向上のための工夫を聞き、アンケート結果をグラフとフリーコメントで共有

② マネージャーヒアリングを通じて、生産性やモチベーションが高い部下が行っている工夫を聞き、その共通性を本文で語り、工夫を複数のトピック記事で共有

③ マネージャーヒアリングで生産性の高いチームや社員を紹介していただき、その社員から生産性の向上やモチベーションアップのための工夫とその裏側にある意識や思いを共有

④ ウィズコロナ、アフターコロナを見据えたこれからの価値創造と働き方について、社長または関連役員からメッセージ


<読後感>
「この情報を参考に自分もやってみよう!」「この情報を参考に部署内でもアイデアを出し合ってみよう!」といったワクワク感

 

そして、この企画案に基づいて考えた見出しが以下になります。

見出し案

<柱見出し>
働き方改革の今とこれから

<肩見出し>
社内に芽吹く、新しい未来へのかけ橋

<大見出し>
激変!仕事と職場の新・進化論

<袖見出し>
コロナ禍で編み出されたみんなの創意工夫を大公開

<中見出し>
大激変!みんなはどう思う?どうしてる?
スゴイぞ!その働き方・その取り組み・そのアイデア
やって良かった!この工夫・この取り組み・そのアイデア
コミュニケーション改革を推進して更なる進化を目指す
※小見出しは本文のそれぞれのパラグラフの要約や結論を示す見出しのため、例は省きます

では、これらの見出しについて、それぞれ解説していきます。

さまざまな見出しの種類を知る

大見出し:企画のねらいをもとに考える記事全体の「タグライン」

まず「大見出し」は主見出しとも言い、記事全体に対してもっとも大きく示す見出しです。「情報と読者の関係を築く」という見出しの目的において、内容のアピールはもちろん、読者に向けて編集者としての意気込みを示すものでもあります。

大見出しの作成ポイント

・企画のテーマや内容と、企画の「ねらい」をとらえて、

・記事を通じて読者に訴えたい編集者の意志や意気込みを含めながら、

・記事を読む意味や理解の方向づけを行い、

・短い文でありながらもインパクトの強い表現で作成する

つまり、大見出しは、テーマを示すタイトルや魅力をアピールするキャッチコピーではなく、極めて個性的でエモーショナルな「タグライン」であると言えます。

さて、大見出し「激変!仕事と職場の新・進化論」は、ねらいの「変化」や「変容」を踏まえて「激変」という強いキーワードで強くアピール、「新」や「進化」というキーワードとあわせることで「すでに進んでいる」「すでに変わり始めているという」印象を醸し出しました。

社員の皆さまに読む意味を示し、さらには誰でも知っている「進化論」の名称を借りることで興味や関心を生み出す工夫を施し、情報と読者との関係構築を図っています。

柱見出し:企画のテーマの範囲や方向性を示す「カテゴリータイトル」

柱見出しは、大見出しや肩見出しの上に小さく配置する、記事のテーマやカテゴリー、タイトルを示す見出しです。
社内報では「トップメッセージ」「職場紹介」「コンプライアンス」「新中期経営計画」「新入社員紹介」「〇〇プロジェクト」などのコーナー名やコーナータイトルが柱見出しにあたります。

また、柱見出しは、カテゴリータイトルとして情報の範囲や方向性を表すことで、内容がより一層伝わりやすくなり、結果として、読者を惹きつける力が得られるパーツになります。

肩見出し:記事に込めた編集としての思いを伝える「キャッチコピー」

肩見出しは縦書きの誌面の場合は大見出しの右側に、横書きの場合は上側につける見出しです。
肩見出しの作り方のコツは、記事の注目ポイントや、読者の興味・関心と記事とを関連づけながら考えることです。

肩見出しも企画段階で考えることが望ましいですが、記事が作成されていないので、記事を読み返しながら見出しを考えることができません。

そこで、肩見出しを考えるときは、今から作ろうとしている記事のテーマや概要を踏まえ、読者にどのようなメリットやベネフィットを提供しようとしているのか、あるいは何の役に立つ記事にしようとしているのか、編集者の「思い」に立ち返り、どう表現すればその思いが伝わるのかを考えます。

また、肩見出しは読後感とも関係しています。

事例の「社内に芽吹く、新しい未来へのかけ橋」は、社員の皆さまの「未来」に役立つ記事をアピールしながら、「芽吹く」という言葉で読後感に示したワクワク感、「新しい」と「かけ橋」という言葉で概要の「これからの一人ひとりの働き方改革に役立つ情報」を表しています。

肩見出しは、企画の概要や読者に提供するメリットやベネフィット、お役立ちなどの注目点を、読後感や記事の想定イメージと関連させ、それを魅力的にアピールします。いわば記事の「キャッチコピー」の役割を持たせることがポイントです

袖見出し:企画の概要や掲載する要素をもとに要約する「サマリー」

袖見出しは、縦書きの誌面の場合は大見出しの左に、横書きの場合は下に配置する見出しで、記事全体を示す「サマリー」の役割を果たします。

また、エモーショナルにアピールする肩見出しや大見出しに対して、袖見出しはそのアピールを受けた読者を、リード文や本文につなぐ役割を持っているため、あまり創意に満ちた表現ではなく、事全体をいかに端的かつ具体的に言い表すかを考えることがポイントです。

事例の袖見出し「コロナ禍で編み出されたみんなの創意工夫を大公開」は、「大公開」といったやや情緒性のある表現の一方、それ以外は記事の構成を具体的に表した内容になっています。

ただ、袖見出しも単に概要を示すのではなく、やはり読まれる記事にすることを考えることが必要です。「みんなの」で、仲間からの発信であること、他にはないオリジナル情報だということを伝えて、読者に読む意味や価値を示しています。

中見出し:分類された記事それぞれの「ワンセンテンス」

中見出しは記事を分割した際、それぞれの冒頭に加える見出しです。複数のページにわたる記事でテーマを分割したり、長文記事を読みやすくしたりするために、切り替え部分に用います。

対象とする記事の範囲をとらえ、タイトルというより「ワンセンテンス」の訴求力ある短文として考えると、魅力的な中見出しにすることができます。

記事をテーマで分割する際には柱見出しや袖見出しを切り分けるようにし、長文記事の切り替えを行う際には、エモーショナルな記事の場合は肩見出しの作り方を、説明的な記事の場合は袖見出しの作り方を参考に、

例示の中見出しは、記事をテーマで分割した特集を想定したものです。全体的に読者へのアピール性を高めたエモーショナルな表現にしていますが、最後の一つだけは経営層からのメッセージなので、長文を要約するような袖見出しの作り方に倣った表現を取り入れています。

小見出し:パラグラフごとの「トピックセンテンス」

小見出しは長文記事をパラグラフごとにつけたり、コラムのタイトルとして配置したりする見出しです。読まれる社内報にするためのポイントは、そのパラグラフの結論をもとに、概要を示すもので「トピックセンテンス」と言えます。

そして、小見出しにも企画との関係で見落としてはいけないポイントがあります。

それは、企画段階に考える「質問項目」です。

質問項目とは、取材対象者に聞く内容ですが、つまり、どのようなねらいや内容、流れでその記事を作りたいかという編集者の意志を表しています。

つまり、企画のねらいと直結している質問項目との関係性をとらえて、小見出しも他の見出しと同様に、企画の段階から考えておくことをおすすめします。

まとめ

「情報と読者の関係を築く」という目的を持つ見出しには、企画を具体的に表現する役割があります。

とは言っても、企画の段階で考える見出しはあくまでも「仮」で、企画の確認や編集を進める上での関係者共通のコンセプトやゴールイメージのようなものです。取材や情報収集の結果、企画段階で考えていた見出しに違和感や過不足が出てくることも多々あります。

ですので、企画段階で設定する仮見出しは、さまざまな状況や要件に合わせて柔軟かつ臨機応変に書き換えたり、編集過程で常にブラッシュアップさせていき、社員の皆さまにとって価値のあるものに成長させる、より良い見出しづくりを追求されることをおススメします。

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