社内報コラム

2020/12/23

VUCAを知る。予測不能な時代の組織づくりとは

VUCAを知る。予測不能な時代の組織づくりとは

皆さんは、VUCA(ブーカ)という言葉をご存知でしょうか?
VUCAは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を組み合わせた造語で、2010年代に入りビジネスシーンでよく使われるようになったキーワードのひとつです。
今回はVUCAが注目され始めた背景や、それぞれの意味と具体例、VUCA時代の組織のあり方について考察しました。

VUCAの意味と、使われ始めた背景

VUCAは元々1990年代の米軍で使われた軍事造語で、冷戦終結により核兵器主体の軍事戦略が前提だった時代が終わり、戦局の見通しが不透明になった状況を表す言葉でした。それが2010年代に入り、「将来の予測が困難な状態」を指すキーワードとして、ビジネス界でも転用されるようになりました。
ITやAIに代表される昨今の技術進化やグローバリゼーション、あるいは頻発するテロ事件や政治不安、自然災害、異常気象、さらには現在進行形の新型コロナウイルスの流行など、多様なファクターが複雑に絡み合うことで、社会や経済情勢は将来予測が極めて困難な状況に陥っています。
こうした背景のなか、予測不能な時代を表すキーワードとして使われ始めたのがVUCAというわけです。

VUCAを構成する4つのワードと具体例

それではVUCAを構成する個々のワードについて、具体例をあげながら見ていくことにしましょう。

1. Volatility:変動性

「変動性」は、人々のニーズや趣向、価値観などが急速に移り変わっていることを指します。具体例としては、「日本におけるソーシャルメディアの変遷」があげられます。
2004年にサービスを開始したMixiを皮切りに、YouTube、Twitter、Facebook、Instagram、Line、TikTokなどが次々と登場し、わずか15年余でSNS市場は大きく移り変わりました。この先もさらに新たなサービスが加わっていくでしょう。
変化が速いと顧客ニーズの変動も顕著となり、新しいビジネスモデルをつくり出しても長続きせず、数年で衰退してしまうこともあり得ます。新規事業のチャンスではあるものの、常に変化が求められるのです。

2. Uncertainty:不確実性

「不確実性」は、物事の見通しが不確実で確信がもてない状況のことを指します。具体例としては、「新型コロナウイルスの蔓延」があげられます。
帝国データバンクの調査によれば、新型コロナ関連で倒産した企業は全国で765件(2020年12月3日現在)。さらにこの先の世界経済への影響に関して、渦中にある現時点ではまったく予測不能です。そして、このほかにも、自然災害、異常気象、少子高齢化、過疎化など現代の日本には不確実な要素がいくつも存在しています。

参照:「新型コロナウイルス関連倒産」帝国データバンクhttps://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html

3. Complexity:複雑性

「複雑性」は、加速するグローバル化によって、ビジネス上の課題が複雑化することを指します。
具体例としては、「中国でのSNS規制」や「電子決済の浸透」などです。中国ではSNSの規制が厳しく、SNSサービスを提供する世界の企業が進出できない状況です。ただその一方で電子決済は、根強い現金信仰がある日本では2割程度しか浸透していないのに対し、後発の中国市場では約6割超と急速に普及が進んでいます。
ITの発展やグローバル化によりビジネスの海外進出が進む反面、特定の国・地域で成功したビジネスを他へ持ち込んでも通用しない複雑性が、世界市場にはあるのです。

4. Ambiguity:曖昧性

「曖昧性」は、問題に対する絶対的な解決策が見つからない曖昧な状況のことを指します。
たとえば「アフリカでの新規ビジネス」です。グローバル化やITの進展により、マーケットとしてのアフリカに注目が集まっていますが、どのようなビジネスが成功するのか答えが確立されていません。
また、新型コロナウイルスによって東京五輪は1年延期となりましたが、現状では開催自体がどうなるのか誰も見通しが立てられません。
既存の答えが存在しない領域でのビジネス展開が、今後ますます広がっていくことになりそうです。

VUCA時代の組織のあり方

VUCA時代を生き残るために、今後はどのような組織のあり方が求められるのかを考えてみましょう。

1. ビジョンを明確にする

VUCAの時代においては、組織のビジョンが明確でなければ、その場しのぎの対応を重ねるだけで、一貫した対応ができず変化が起きるたびに経営戦略のベクトルが変わることになりかねません。逆にビジョンを明確にできれば、環境が変化してもとるべき行動の判断が可能になります。
組織のなかで個々人がそれぞれどのような役割を担っているかを踏まえ、置かれた環境下で達成すべき共通の目標とビジョンを明確に設定しましょう。

2. スピーディな経営判断を行う

VUCAの時代においては、トレンドを分析したり、決断に迷ったり、アイデアを検証している間に情勢が刻一刻と変化します。そのためできる限りスピーディな決断と、想定外の出来事が起きてもすぐに軌道修正できる臨機応変さが欠かせません。シナリオやプランを必要以上に固めようとせず、トライアンドエラーの中で戦略を組み立てていく柔軟な姿勢が求められます。
そしてこれまでの会議のあり方や決裁ルートでスピーディに決断できないようなら、意思決定の仕組み自体から見直す発想も必要となるでしょう。

3. 常にリスクヘッジを考えておく

VUCAの時代においては、天災や政治的変動、疫病、同時多発テロなど、いつどのようなリスクが降りかかってくるかわかりません。今回のコロナ禍による経営への影響はまさにその恰好の事例と言えるでしょう。
組織としての情報感度と情報収集力を高め、起こり得る変化の可能性についてさまざまな角度から想定し、多様なリスクに対応できる組織体制を整えておくことが、今まで以上に求められてきます。

4. 外部環境の変化や技術進化に敏感になる

VUCAの時代は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代でもあります。デジタル技術の進化によって、各業界に突然異業種が参入してくるケースも増えるでしょう。そして時代の流れが早まり、次々と新たなサービスが登場してくるなか、成功したビジネスモデルもすぐに廃れてしまう恐れがあります。
VUCA時代を生き抜くには、外部環境の変化の兆しや技術進化の動向に対して、敏感にアンテナを張り巡らせておくことが大切です。

まとめ

往々にして人は、大きな変化や未知の物事を避けて現状を維持したくなるもの。行動経済学の世界では、そうした心理作用を「現状維持バイアス」と呼んでいます。
しかしVUCAの時代では現状維持バイアスにとらわれず、進んで変化を受けいれる姿勢が肝要です。既存のビジネスモデルへの過剰な固執、過去の成功体験の後追いは命取りになりかねません。
そして見方を変えれば、VUCAは大きな変革のチャンスでもあります。遅々として進まなかったリモートワークや商談・教育のオンライン化、遠隔診療などが、今回のコロナ禍を機に一足飛びで普及したのはその好例でしょう。
急速に移りゆく時代にこそ変動や不確実性、複雑さ、曖昧さに振り回されず、むしろこれらを楽しむくらいの心のゆとりが必要なのかもしれません。

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