社内報コラム

健康経営とは? 取り組みの背景やメリット、広報事例などもご紹介

健康経営とは? 取り組みの背景やメリット、広報事例などもご紹介

近年、従業員の健康づくりを通じて企業価値の向上に活かそうという、「健康経営」の考え方が広まっています。健康経営の意味や政府の取り組み、背景などについて理解を深めるとともに、インナーコミュニケーション活性化への活用を考えてみましょう。

健康経営とは

従業員の健康を増進することにより、体力や意欲が向上し、その結果として企業の生産性を向上させ、業績アップや企業価値向上に繋げていこうという考え方が、「健康経営」です。

日本で「健康経営」が特に注目されるようになったのは、2013年政府が閣議決定した日本再興戦略の「戦略市場創造プラン」の中で、「健康寿命の延伸」というテーマが掲げられたことがきっかけです。

なぜ今、健康経営なのか

この「健康経営」を推進する背景には、いくつかの理由があります。

・超高齢時代の労働力確保

近年、日本では少子高齢化が進み、人口は減少傾向にあります。日本の経済を支える若年層は減少し、高齢者の比率は拡大傾向にあり、新たな労働力を確保することが難しくなってきました。そのため、まずは従業員の健康に配慮し、長く健康に働ける環境を整える必要があります。

・あるべき国民医療費の実現など、社会課題の解決に貢献

日本人の平均寿命は、2018年で男性が81.25 歳、女性が87.32 歳となっており、世界でもトップクラスの長寿国になっています。また、65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は世界に類を見ない速さで増加しており、それに伴って医療費や介護費用も急激に増加しています。健康経営によって健康を推進することで医療費を削減することができます。

・ヘルスケア産業の創出

健康寿命を延ばし、労働力を確保するためには、さまざまなヘルスケア産業の育成が重要な課題になります。さらに、国は従来の薬や医療機器を提供するヘルスケアから、IoTやAI、ビックデータなどを活用した、病気を予防し健康を促進するヘルスケア産業を育成したいと考えています。そのことにより、新たな産業の拡大も期待しています。

健康経営の表彰制度

健康経営は国がその取り組みを推し進めていることもあり、表彰制度も制定しています。経済産業省は、2014年度から「健康経営銘柄」(健康経営を行っていると認められた上場企業)の選定を行っており、2016年度には健康経営銘柄より申請しやすい「健康経営優良法人認定制度」もスタートさせました。

健康経営銘柄は、「東京証券取引所上場会社であること」「健康経営を経営理念として掲げている事」、「実際に効果を出すためのPDCAサイクルを持っている事」「法令順守ができていること」、その上で、「自己資本利益率が向上している事」などの観点から評価され、認定されます。従業員の健康を実際に企業価値向上に活かせている企業を「見える化」して社会的に評価を受けることができる環境を整備しています。つまり、健康を経営に活かせていることを国が認定していることになり、ロゴの掲出も可能なため企業にとって大きなPRとなります。健康経営に取り組まれる企業の皆さまは、健康経営銘柄や健康経営優良法人などの取得を目指してみてはいかがでしょうか。

健康経営のメリット・デメリット

では、健康経営を行うことには果たしてどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?企業だけでなく、従業員の立場からも考えてみましょう。

メリット

健康経営のメリットには、従業員が正しい健康知識を得ることができ、実際に健康になるということがあります。健康イベントの参加や情報共有によって、参加意識が高まりコミュニケーションが高まるという効果やいきいきと働けることで、モチベーションやエンゲージメントの向上にもつながります。さらに「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に認定されれば、投資家や金融機関からの資金調達がしやすくなります。また、企業イメージが向上することで、採用面でも多くの応募が見込めるようになるでしょう。

デメリット

健康になることは、誰もが望むことですが、それは従来、個人が努力することとされてきました。企業としての取り組みとして節酒や禁煙などの個人の嗜好への介入や、健診データの共有など、プライバシーやセンシティブ情報への関与と捉えられると従業員によっては好ましく思わない場合もあります。また、健康状態と生産性の向上との因果関係を判断することは難しく、成果を感じるまで一定の時間かかかることも認識しておきましょう。

さらに、活動のための設備費や人件費など、コストがかかることもデメリットのひとつです。

健康経営の発信やコロナ禍での対応事例

健康経営優良法人の事例(ネッツトヨタ山陽株式会社)

トヨタ系列の自動車販売会社での取り組み事例です。非常に汎用的で導入しやすい取り組みですが、同社では健康プログラムの一環として、社員に電子万歩計を携行してもらい、歩いた歩数を集計し、個人別・部署別実績を毎月、ニュース形式で公表しています。さらに、ウォーキングコンテストも実施し、楽しみながら継続して運動できる活動も行っています。さらに、 社員食堂を活用した健康意識向上策として、本社社員食堂をみんなが楽しく健康的に活用できる工夫として、カロリー別におかずをチョイスできるヘルシー仕出し弁当の提供も始めました。

【参考】経済産業省 健康経営法人 優良事例集 令和2年3月
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieiyuryohojin_jireisyu200327.pdf

コロナ禍の中でも有効に対応している事例(キューピー株式会社)

食品メーカーのキユーピー株式会社では、新型コロナウイルスの感染拡大防止と感染リスクを抑えるために外出を自粛している従業員に向けて、「栄養」「運動」「社会参加」の3つの方向性で、従業員の健康に役立つ情報をWeb上で提供しています。具体的には、家庭内で食事の機会が増えた社員に対して、短時間に料理できる健康レシピを紹介したり、プロスポーツトレーナーによる体操動画を配信したりしています。

【参考】キューピーアヲハタニュース「外出自粛中のグループ従業員を支援健康につながる食と運動の情報を提供」
https://www.kewpie.com/newsrelease/2020/1770/

まとめ

健康経営とは、従業員を重要な企業の資本と考え、従業員の健康づくりを支援し、企業価値を向上させるものです。つまり、従業員と企業がWin-Winになれるような活動といえるでしょう。

さらに、この健康経営の取り組みには、従業員が自ら積極的に参加することが求められます。健康経営は、社内報や各種社内イベントなどを通じて、積極的に全従業員に対して発信することで、従業員のエンゲージメントにもつながるインナーコミュニケーションにとってもとても重要なテーマといえるでしょう。

 

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