社内報コラム

読まれる社内報作成のコツは読後感を意識した企画が重要?

読まれる社内報作成のコツは読後感を意識した企画が重要?

皆さまの社内報は、「読後感」を意識して企画やデザインを考えられているでしょうか? 企画の背景や趣旨、ページ展開や構成はしっかり考えられていても、「読後感」が考えられていないと読者と記事との関係を考えていないということになります。

今回は読まれる社内報にするために、必ず押さえておくべき「読後感」について、その重要性や考え方、役割についてお伝えします。また、「新しい中期経営計画を伝える特集」を事例に、具体的な読後感の設定の仕方をご紹介します。

読後感とは?

人は情報に触れたときに、その内容を理解するだけではなく、見出しや文章の表現、写真、デザインなど、さまざまな表現を通じて、なんらかの感情や気持ちを抱きます。この感情や気持ちのことを「読後感」といいます。

読後感は記事を読んだあとの感想ではない

読後感は感想とは大きく異なります。読後感は読者の方々が記事を読んだときに受ける感情や気持ちのことで、感想は読んだ人の認識や意見のことです。記事を通じて得る受動的な感情や気持ちである読後感と、読者自身の能動的な思考である感想とは真逆のものなのです。

社内報が読まれない原因は読後感にあり

読後感は、社内報をつくる上でも欠かせないもっとも重要な観点のひとつです。その理由は3つあります。

発行目的の実現につながっている

社内報の発行目的は、社内報によって社員や組織をどのような状態にしたいかを考えて設定されていると思います。そして、その目的は一人ひとりの行動によって実現するものですが、行動は感情や気持ちによって生まれます。つまり、読後感を考えることは、社内報の目的の実現を考えているということだとも言えるのです。

読まれる社内報づくりにつながる

一般的に社内報は社員の皆さまの意思によって読まれるかどうかが決まります。読まれる社内報には、読むことがプラスになる、自分にとって価値があるという感情や気持ちを生み出し続けることが求められます。つまり、読後感(感情や気持ち)と読まれる社内報づくりは、切っても切れない関係なのです。

関係者との協業を円滑にする

読後感は記事の内容のみならず、デザインや写真も含めた記事づくりの全体に大きく影響します。読後感が考えられていなかったり、不十分だった場合、デザイナーやカメラマンはもちろん取材対象者や記事をチェックする上司など、社内報づくりに関わるすべての関係者とのコミュニケーションに多くのズレが生まれることになります。

読後感を考える3つのポイントを事例で解説

では、実際に社内報の企画を立てるとき、読後感をどのように考えるべきかについてお伝えします。ポイントは3つです。

 

読後感を考えるためのポイント

1)社員が自分ごと化できるような感情や気持ちを考える

2)社員の中に生み出される感情の方向性と度合いを考える

3)文章やデザインなどの表現について完成形がなんとなくイメージできるように考える

今回、「新しい中期経営計画を伝える特集」を事例に、それぞれのポイントについて具体的に考えてみます。

1)社員が自分ごと化できるような感情や気持ちを考える

単純に中期経営計画に目を通した場合、計画の全体像は理解できても自分ごと化に至る感情や気持ちはほとんど生まれないと考えられます。では、どのような感情になれば自分ごと化できるでしょうか。

たとえば、「ワクワクする」、「ドキドキする」、「前向きな気持ちになれる」、「積極的に取り組みたいという気持ちになれる」と設定します。そうすると、社内報で重点的に取り上げるべきポイントや表現の方向性をイメージすることができるようになると思います。

2)社員の中に生み出される感情の方向性と度合いを考える

次は方向性と度合いです。たとえば「ワクワクする」という感情についてであれば、「未来に向けて」や「仲間との関係に対して」など何に対してワクワクするのかという方向性、また「強く」「重く」など、どの程度のワクワクを生み出すかという度合いをそれぞれ補足しておくと、記事づくりに対して具体的な指針になります。

3)文章やデザインなどの表現について完成形がなんとなくイメージできるように考える

先の2つのポイントから読後感をまとめると、「中期経営計画について社員が未来に向けて強いワクワク感を得る」となります。

ここから、さらに誌面の完成形をイメージして読後感をブラッシュアップしていきます。

たとえば、中計にからめてトップに従業員へ力強いコメントを語ってもらいたい、営業本部長に新製品の意気込みを語ってもらいたい、そのほか登場人物のイメージだけでなく、キーワードをたくさん掲載した誌面デザインにしたいなど、だれがどんな風に登場するどんな誌面になるかをイメージしてみてください。それを関係者で共有するために、読後感を次のような表現に見直します。

 

「新しい中期経営計画を伝える特集」の読後感(例)

・社員が持つ共通のポテンシャルを刺激するメッセージで、未来に向けた強いワクワク感を生み出す

・新製品の販売への意気込みと全社への要望を通じて、未来に向けた強いワクワク感を生み出す

・中計資料をもとに全社的なコミュニケーションのキーワードを示して、未来に向けた強いワクワク感を生み出す

いかがでしょうか。ひとつめの読後感からは、トップに社員のポテンシャルに焦点を当てたコメントを、大らかさのある信頼に満ちた表情で語ってもらう誌面。ふたつめの読後感からは、営業本部長に新製品販売の意気込みや全社への要望を、青空が広がる社屋前で撮影する写真を背景に語ってもらう誌面。3つめからは、中計目標達成のためのキーワードを吹き出しをあしらったデザインで紹介する誌面。読後感を中心に、関係者でこんなデザインイメージを共有できそうではないでしょうか?

このように、デザインから受ける印象まで読後感に落とし込むと、登場人物の表情やポーズ、写真の撮影場所までイメージが共有できるようになるのです。

企画書には「読後感」まで記載する

企画書には、「企画の意図」や「企画者の意思」を示し、上司の承認や取材対象者の理解、制作スタッフの発想やクリエイティビティを喚起する役割があります。その企画書に読後感まで記載すると、実際に記事を作成する際も、当初の考えに対してブレがない制作進行ができるようになりますまた、記事の内容や要素について、部分的な変更が必要な場合にも、読後感が関係者共通のゴールイメージの基準になりますので、冷静に判断して改善や修正を行える根拠にもなり得るのです。

まとめ

「成功するかどうかの80%は準備で決まる」という言葉があるように、その記事が成功するかどうかは、企画段階で80%が決まるといっても過言ではありません。「読後感」はたくさんの関係者がOne Teamとなって生み出す記事のゴールイメージです。

ぜひ記事でお伝えしたポイントを、社内報の企画を立てるときにご活用ください。

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