今日から試せる社内報編集の「切り口」の話4

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ひとつの事業をたくさんの拠点で展開している会社とは

前回の記事では、「たくさんの事業を展開している会社」を例に、職場紹介を題材にして「切り口」の具体例を紹介しました。

今回の記事では、「ひとつの事業をたくさんの拠点で展開している会社」を例に、職場紹介を題材にして「切り口」の具体例を紹介します。

ひとつの事業をたくさんの拠点で展開している会社とは、ひとつの製品群を日本国内や海外に向けて展開してり会社を指します。

もちろん企業規模が大きい会社は、技術を他の製品に応用したり、販売先やサービスの対象を拡げたりするなかで、事業部をわけて展開していると思います。

ただ、ここでは会社を「業界」というくくりで見たときに、いずれの事業もその業界におさまる場合を想定しています。

前回の記事でご紹介したような「たくさんの事業を展開している会社」とは、例えば機械メーカーでありながら、同時に全く異なる飲食チェーンなどの事業を展開している会社であったり、建設業界に属しているものの、大型ビルを建設する事業と、個人向けの住宅を建設する事業を有している場合を指します。

これについては決まった基準やルールがあるわけではなく、実感としてどちらに該当するかで考えていただいても問題はないと思います。

ひとつの事業をたくさんの拠点で展開している会社の職場紹介の課題

話を戻しますが、ここからは、今回の主題である「ひとつの事業をたくさんの拠点で展開している会社」を例に、職場紹介を題材にして「切り口」の具体例についてお伝えしてまいります。

まず、ひとつの事業をたくさんの拠点で展開している会社の場合、「何をつくり、何を売っているか」については、ほとんどの社員が理解しています。

また、その製品やサービスに関する機能性や効果についても、ほとんどの社員が認識しているものと考えられます。

では、何を掲載すべきか。

こういった会社の社内報に掲載する職場紹介のテーマは、大きく分けると二つあります。

ひとつは職能を細かく分けて作られているさまざまな部署の仕事と、そこで働く人の紹介。

もうひとつは、全国にきめ細かく展開する国内の拠点や、グローバルに広く展開する海外の拠点での仕事と働く人の紹介です。

職能で分けられた職場の紹介は主に仕事の内容や、その仕事を行うために必要な技術やスキルについての紹介が必要となり、拠点ごとに伝える職場の紹介は、仕事の内容については他の拠点と大きく異なるわけではないので、そこで働く人に加えて、その拠点の地域性について紹介することが一般的な方法となります。

このように、「ひとつの事業をたくさんの拠点で展開している会社」の職場紹介に関する課題は、職能別と拠点別で大きく異なる紹介テーマに対して、いかに同一コーナーとして実現するかとなります。

組織の構造上の問題に着目する

単純な方法としては職能方の職場を紹介するコーナーと、拠点の職場を紹介するコーナーを分けてしまうという方法もありますし、この方法も悪くはないと思います。

けれどもページ数が限られるなかで、ひとつのコーナーとして成立させる必要がある社内報の特性を考慮して、どんな切り口で職場を紹介すれば良いかについて、もう少し掘り下げて考えてみましょう。

このように、ひとつのコーナーに対して掲載すべき情報が異なることが原因で迷ったり悩んだりしたときに、最適な方法を見つけるには、対処すべき問題に着目して課題を見つけることが大切です。

「ひとつの事業をたくさんの拠点で展開している会社」で起こりがちな問題としては、職能間のセクショナリズムや、拠点ごとに自社に対するイメージや「らしさ」の認識に差が生まれるということが挙げられます。

これらの問題に対する課題としては、このような問題を予め防いだり解消したりすることが考えられますが、この課題解決は社内報の重要な役割です。

また、つくるのは会社案内や入社案内などではなく「社内報」だということに立ち返ると、職能別の職場を紹介するにあたって、技術やスキルを深く掘り下げる必要性はそれほど大きくなく、むしろ全社員が共通して取り扱っている製品やサービスに対して、部署や役割が異なる人たちの意識を共有し合ったり、思いを分かち合ったりするなど、いかに組織間に横串を通かということが課題だということに気がつきます。

こう考えると、技術やスキルについては深く掘り下げず、人や人の思いに焦点をあてて紹介することが本質的な課題となり、拠点についても、どこで働いているかよりも、その拠点で誰がどのような思いで働いているかを伝えることこそが課題だと判断できると思います。

もちろん、紹介する職場の役割や、拠点の特徴ついても伝える必要があるのですが、それらは冒頭のリード文や、職場DATAとしてまとめてしまった方が理解しやすくなると思います。

組織の問題を解決するための課題は掲載要素で解決する

ここで一度、課題を整理します。

職能間のセクショナリズムを予め防いだり解消したりすること。
拠点ごとの自社イメージや自社らしさの差や違いを解消すること。
さまざまな職場や拠点に横串を通して、社員どうしの意識や思いをつなぐこと。
職場の役割や拠点の特徴については冒頭でまとめて紹介すること。

では、これらの課題をいかに解決するかということですが、ここまで読んでいただいた方でしたら既になんとなくイメージが膨らんでいるのではないかと思いますが、ここでもうひとつ大切な課題を紹介します。

それは、「いかにわかりやすく、魅力的に、興味深くそれぞれの職場の仕事や人を伝えるか」という課題です。

先の4つの課題のままであれば、記事としては冒頭に職場の名前を記載して、リード文か何かで職場の役割や拠点の特徴をもとに仕事の内容を紹介し、社員の仕事に対する思いをコメントしていただくとなりますが、これはあくまでも掲載する要素の話で、組織の問題を解決するための課題は、掲載要素を見つけ出すためのものとなります。

読まれるための課題の解決こそが「切り口」

これらについて、どうやってわかりやすく、魅力的に、興味深く伝えるかという課題に対して、どんな「切り口」にするかを考えます。

つまり「切り口」とは読まれるための課題解決策とも言えるのです。

では、どのような課題解決策、つまり切り口が考えられるか。

実はここまで来ると、前回の「今日から試せる社内報編集の「切り口」の話3」でお伝えした「共通性」「人となり」「興味がわく」の3つのポイントを押さえつつ、出身地や世代、または編集側で考えた切り口で人を紹介して、横串を通していくという方法でクリアします。

ですが、せっかくなので、ここでは他の切り口についてご紹介しようと思います。

ダイバーシティを切り口にする

社内報の重要なテーマのひとつに、ダイバーシティの理解や浸透、活性化がありますが、これを切り口として職場紹介に取り入れることは有効な手段になると考えられます。

ダイバーシティとはさまざまな人の属性や経験、価値観を活かして会社の競争力につなげる取り組みですが、そのためにはそれらを受け入れる土壌づくりが大切です。

この土壌づくりをインクルージョン(受容性)と言い、会社によってはダイバーシティー&インクルージョンという一対のキーワードにして、多様性の活性化と受容性の醸成を図っています。

つまり、職場紹介の社員コメントについて、一人ひとりの個性や価値観を表現できる切り口を用いることで、読み手である社員一人ひとりにインクルーシブな意識を知らず知らずのうちに持っている状態をつくるというねらいを持たせます。

そこで、社員の紹介にあたっては、自分自身を何かに例えてもらい、その心を語っていただくという方法を切り口とします。

さらに、動物、植物、日用品、家電製品、歴史上の偉人などを共通のモチーフを編集側で設定すると、共通性というポイントを押さえられ、答える側も答えやすくなるのでおすすめです。

大見出しで職場のミッションやチャレンジを語る

ここまでのおさらいですが、企画書的に表現すると、

【目的】
職能ごとにわかれた職場と、さまざまな地域に拡がる職場が存在するなかで、職能間のセクショナリズムや拠点間の自社に対する認識の差を防ぐといった組織上の問題を解消する。
【趣旨・ねらい】
組織に横串を通すことを本質的な趣旨とし、職能や拠点に縛られずにその職場で働く社員一人ひとりを紹介することに加えて、ダイバーシティーとインクルージョンの推進をねらい、社員の個性や価値観を表現できる切り口でコメントを掲載する。
職能や拠点の特徴は冒頭で紹介する。
【掲載要素】
社員コメントについては、趣旨・ねらいに即し、読みたくなる工夫として、社員の個性や価値観を語っていただくにあたり、ご自身を動物に喩えていただき、その動物にした理由を通じて個性や価値観を語っていただく。
職場のミッションや取り組みについては大見出しで表現し、その意図や内容を本文で職場のマネージャーに語っていただく。
職場の役割や特徴についてはリード文とDATAコラムでまとめる。
人数が少ない職場についてはこぼれ話コラムを用意して、職場内の紹介や職場内コミュニケーションに関する活動、営業所については地域特性や名物などを紹介していただく。

となります。

今回は切り口のお話以外に、コーナーの企画を立てる際の考え方や方法についてもお伝えしたので、少し長くなってしまいました。

コーナーの企画の立て方などについては、また別の記事でも紹介してまいりますので、ぜひご期待ください!

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