読まれる社内報にするためのデザインの話

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今のデザインに満足していますか?

読まれる社内報の特徴は、読み手である社員の皆さまにとって役に立ったり、ちょっとしたときに見て「ほっこり」した気持ちになったり、社員の皆さまの豊かな表情が溢れる写真がたくさん掲載されていたりとさまざまですが、読まれない社内報の特徴はと言うと、読みづらいことはもちろんですが、パッと見たときに工夫が感じられないつくり方になっているといったことが挙げられます。

ただ、読まれるようにするためのデザインの工夫と安直に言われても、デザインを専門的に勉強した経験がない方の場合は、何をすれば良いかが分からなかったり、さらにはそれをすることで業務量が増えてしまうようでは、やりたくてもやれないといったことが現実ではないでしょうか。

とは言え、読まれる社内報にするためにといった観点でデザインに着目される方は、純粋に社内報が社員の皆さまにとって役立つものであり、そんな社内報になるために工夫や努力を日々繰り返されている方だと思います。

そこで、今回の記事では社内報のデザインのお話をしてまいりますが、なかでも「パッと見たときに工夫が感じられるデザイン」に焦点をあてて、普段つくっておられる社内報の成長や進化のお手伝いをすべく、すぐに使える方法や考え方をお伝えしたいと思います。

社内報のデザインで知っておくべきこと

社内報のデザインについて知っておくべきことはたくさんあるので、この記事ですべてをお伝えすることは不可能なので、社内報のデザインのテクニックや考え方についてはこれからも何度もお伝えしていく予定ですが、まずはこれを知っておくと、困ったときにウェブサイトで調べるときや、社内報づくりに向けてデザインの勉強をしっかりやってみたいけど、何から手をつけたら良いのかがわからないときに役に立つキーワードとポイントをお伝えします。

まず、社内報は冊子だという点に注目してください。社内報に限らず会社案内、CSR報告書や統合報告書、アニュアルレポート、株主通信など、広報部門が担うツールは通常、冊子の場合が多いと思います。

これらのデザインで注目すべき共通点は、それぞれの見開きごとに情報が掲載されていて、それが何ページかに別れて連なっていることや、見出しや文章、写真やイラスト、図や表を要素として掲載することです。

ところが、デザインについてネットで検索すると、本屋さんでデザインの本を探したりすると、ページやコラム記事の4つの辺には余白を持ちましょうとか、1ページや1枚の中で情報や要素をどのように配置すれば良いかといったことばかりで、1冊としてどうすれば良いのかについて教えてくれるものは、ほとんど見当たりません。

これは、世の中のデザイナーのほとんどが、広告などを作るグラフィックデザイナーであったり、Webサイトを作るWebデザイナーだということが関係していると思います。

もちろん社内報などの冊子のデザインもグラフィックデザインやWebデザインと関係していることは多々あるのですが、それらにはなく、それでいて圧倒的な大きな違いが、社内報など冊子を作る場合のデザインにはあります。

それは、社内報などの冊子は「ページ」があることです。

Webデザインもページがありますが、Webは原則的にはページの縦のサイズには際限がなく、スクロールすればいくらでも情報を掲載するスペースを確保することができますが、紙の冊子である社内報は、A4であったりB5であったりと、縦横ともに限界があります。

その、限界がある誌面がページになって連なっている点が社内報など冊子のデザインの最大の特徴で、これらはポスターやチラシといった広告にもない特徴となっています。

では、紙のサイズの制限があってページが連なっている、社内報などの冊子のデザインをより良くするために、何を知っておくべきか。

それは、それらがグラフィックデザインやWebデザインではなく「エディトリアルデザイン」だということです。

エディトリアル。つまり編集デザインです。

紙のサイズに制限があってページが連なっている冊子のデザインである「エディトリアルデザイン」は、通常は文字だけで組まれる書籍や、写真などを駆使して作られる雑誌などで用いられるデザインですが、社内報や会社案内、CSR報告書、統合報告書、株主通信などの広報ツールも全てエディトリアルデザインの範囲にあります。

同じように紙のサイズに制限があってページが連なっている冊子である商品カタログは、複数のページで組まれている特集などを除いて、通常は1ページごとに情報が完結しているため、これらは純粋なエディトリアルデザインではなく、一部は広告的なグラフィックデザインの視点が含まれています。

社内報のデザインは表現に加えて「可読性」「連続性」「効率性」を考える

さて、話題を社内報のデザインに戻しますが、改めてエディトリアルデザインという視点でデザインを考える必要性についてお伝えしますと、それは本や雑誌といった印刷されて販売される「工業製品」のために考えられたデザインだということがあげられます。

本や雑誌は掲載している物語や情報を読者に読みやすく、わかりやすく伝えるという「可読性」といった機能が求められており、さらにはたくさんの情報の伝達をページによって分断されることなく適切に伝えるために「連続性」を重視して、エディトリアルデザインは発展してきました。

また、工業製品であるがゆえに「効率性」にも着目して発展してきた歴史があります。

ポスターなどは1点ものとして「表現」に焦点をあてて発展してきた歴史がある一方で、「効率性」についてはあまり考慮されてなく、けれども世の中のデザインに関する情報は「表現」に偏っていて、「効率性」といった点にはほとんど触れていないのです。

一方でWebデザインも「ページ」があり、表現性はもちろんですが可読性や効率性が求められる場合も多いので、この部分については社内報などの冊子と同じような点が重視されて改良されてきた歴史があります。

このように冊子のデザインは「エディトリアルデザイン」であり、重視されているポイントは、情報を興味深く魅力的に表現する点に加えて「可読性」「連続性」「効率性」だということを理解していただけると、そのために何をすれば良いかに対して容易に調べたり探したりすることができるかと思います。

デザインは引き算で考えると上手くいく

社内報など冊子のデザインについて「エディトリアルデザイン」というデザインのカテゴリーと、それらが表現の他に「可読性」「連続性」「効率性」といった点に焦点をあてて発展してきたことをお伝えしましたが、社内報などページ数が雑誌などと比較して制限が大きい中で大量の情報を伝える必要がある冊子の場合、ついつい1ページあたりの情報が増えてしまう傾向があります。

そこで「可読性」に着目して、いかにして「可読性」、つまり読みやすいデザインにするかについてお伝えいたします。

なお、「連続性」や「効率性」についても非常に深みのあるテーマであり、重要なポイントなのですが、今回の記事のテーマはあくまでも「読まれる社内報にするためのデザイン」ですので、連続性や効率性については、また別の機会にお伝えできればと思います。

「可読性」に話を戻しますが、可読性とはつまり「読みやすくする」ということで、これには文字のサイズや1行あたりの長さ(行長)、文字と文字の間のスペース(字間)、行と行の間のスペース(行間)、段と段の間のスペース(段間)などが関係しています。たとえ文字サイズが大きくても行長が長すぎたり、字間が狭すぎたり、あるいは広すぎたり、行間がギュウギュウに詰まっていたりすると非常に読みづらくなります。

この点についてもエディトリアルデザインの発展の過程で追求されてきた、非常に奥深いものがあるのですが、今回の記事のテーマが「読まれる社内報にするためのデザイン」ですので、この点についても別の機会に改めてお伝えします。

では、文字のサイズや行間などの他に、読まれる社内報のデザインにするために必要な考え方をお伝えします。

それは、情報がしっかり整理・整頓されているデザインです。

ついついあれもこれも大切で、いずれも社員にしっかり伝える必要があると思って、たくさんの情報を限られたスペースに載せたり、社員に依頼して執筆していただいた原稿が想定よりもたくさん書かれていたけど、せっかく一所懸命書いてくれたので全部掲載するといったことをしてしまいますが、結果的にそうすることで可読性は阻害されて、伝えるべきが伝わらなかったり、せっかく忙しい中で書いていただいた社員さまの記事が読まれないということに陥ってしまいます。

これを防ぐためには、読まれるデザインは「引き算」で考えるということを念頭に置くことが大切です。

つまり、何を伝えるかではなく「何が伝われば良いか」で考えるということです。

デザインも「何が伝われば変わるのか」で考える

ザインは会話と同じで、たくさん話されると聞き手は何が大切なことなのかがわからず、話の中身よりも話す人の口調や話しているときの癖などが気になったりするように、デザインも記事の中身、つまり伝えたい内容よりも、文章の癖であったり、写真の粗さが気になったりして、結果的に内容は伝わらず「読みづらい」といった印象だけが伝わってしまうということになってしまいます。

読まれる社内報にするためのデザインは整理・整頓されていることだとお伝えしましたが、なかでも整理が重要で、何を伝えたいのか(=何が伝われば変わるのか)に対して、関連情報がきっちり整理されている必要があります。

ちなみに整理とは不要なものを捨てるという行為で、整頓はきれいに、あるいは意図に沿って整えるということで、整理整頓された部屋が快適なのと同じように、誌面に掲載する情報についても、不要なものはすっきり捨てられていて、意図に沿ってきっちり整っている状態が築けて、はじめて人は「読める」という意識を持てるということなのです。

もちろん「読んでみたい」という気持ちを引き出すためには、情報の整理・整頓の他にもやるべきことがたくさんあるのですが、まずは整理・整頓することが第一歩となりますので、記事を作成する際にはこの点を意識して、最初に「何が伝われば変わるのか」を定めて、それを伝えるために少しでも不要と思う関連情報は思い切って捨ててしまい、同時に「何が伝われば変わるのか」に沿って情報を整えてみると、掲載すべき要素は意外と少ないことに気付けると思います。

つまり、読まれる社内報のデザインとは、エディトリアルデザインという考え方を基盤にして、「何が伝われば変わるのか」という一点を捉えて、情報や誌面がきっちり整理・整頓されているデザインなのです。

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