企画の意図を表現するデザインのコツ

Antique Red Padlock over white wood background

デザインの役割は企画の意図をカタチにすること

社内報の印象を決定づける上で、デザインは非常に重要だということはご存知だと思いますが、なかなか思うようなデザインにならず、社内報がどうしても野暮ったい印象になってしまうといった悩みをお持ちの社内報のご担当者は非常に多いと思います。

社内報は他の広報ツールと比較して、文字原稿や写真など、さまざまな要素を社内報のご担当者自ら用意して作成る部分が多いことも関係しますが、他のツールとは異なり、楽しい印象や親近感のある表現が求められるために、ゴチャゴチャしたデザインになったり、幼稚な印象になったりと、なかなか思うようなデザインにならずに、人に自慢できるようなオシャレな社内報にできないといった声もよく聞きます。

ただ、この原因は実ははっきりしています。それは、デザインを依頼するタイミングに問題があるのです。企画を立てて、文字原稿や写真を用意して、それからデザインを依頼するという流れで制作を進めていると、こういった問題が起こりやすいのです。

というのも、デザインは企画の意図をカタチにするもので、原稿を誌面に詰め込む仕事ではないのです。

ですのでデザインを良くしようと考える場合、企画を考えるタイミングと同時に、その企画にあわせて凡そのデザインを作るようにすると、無駄のない、企画の意図に沿った望ましいデザインに近づくのです。

「雑誌のような社内報のデザイン」にするための要点

オシャレでかっこいいデザインの社内報にしたいときによく、「雑誌のようなデザインに」というご意向を聞くのですが、雑誌はまさに読みたい、家に持って帰りたいと思われてはじめて売れるので、裏を返せば読みたいと思われる、家に持って帰りたいと思われる、あるいはお金を出してでも欲しいと思われるくらいの社内報にしようといった考え方に対して、雑誌のようなデザインにするということは決して間違いではなく、「社内報だからそこまでかっこいいものでなくても良い」という考え方は、いわば「社内報だから読みたいと思われなくても良い」と言っているのと同じだと思います。

では、雑誌のような社内報を作るために、何をすれば良いかということですが、先ほどお伝えしました通り、企画と同時にデザインを考えるということです。

もちろん、デザインはデザイナーが考えるものなのですが、企画とともに原稿を渡された段階でデザインを考えるとなると、デザイナーは原稿を雰囲気良く配置したり、原稿量が多い場合はパズルをしているかのように誌面に組み込んだり、あるいは原稿量が少ない場合は、少しそれっぽい飾り付けをするといった、デザインというよりも情報の切り貼りをしているような感じで、ものすごく苦労しながらも満足しきれないデザインで提出している場合が多いのです。

一方で企画の段階からデザインのすり合わせができると、企画の意図やねらいを汲んで、それを文字だけではなく、誌面全体で企画の意図を醸し出すために必要なデザインのための要素や、適切な文字量などを割り出してくれるのです。

デザインを決定する重要なポイントは「読後感」

デザイナーと企画の段階から打ち合わせをするときに、デザイナーが重視するポイントは、企画の意図やねらい、掲載するテーマや内容はもちろんですが、何よりも「読後感」を重視します。

「読後感」とは読んで字のごとく、読者が読み終えたときの感覚を表しているのですが、企画のテーマや内容が同じでも、読後感が異なればデザインは大きく変わるのです。

例えば企画のテーマが「決算」で、企画の趣旨や掲載内容としては「決算内容を興味がわくように、そして入社2年目の社員でもわかるよう解説する」、企画のねらいを「決算をもとに目標に対する現在地と課題を共有する」にしたと想定したとして、デザイナーにデザインの相談をしたとすると、デザイナーはおそらく「どんな印象のデザインにしますか?」と聞いてきます。

企画を立てた側からすると、それを考えるのがデザイナーの仕事と考えてしまったり、デザイナーからすると、企画はわかったけどどんな印象にしたいのかといったところまで考えてほしいけど、そんなことを言ったら「それはプロであるデザイナーのあなたが考えることでしょ」って言われそうだし、などと考えてしまうのです。

ところが企画書に「読後感」を加えていたとすると、デザイナーとのコミュニケーションは一気に加速し、デザイナーからデザインのアイデアがどんどん出てくるようになります。

例えば読後感を「課題がすっきり分かったので改めて頑張ろう!」といった内容であれば、デザインとしては決算数字やその解説の要点を示す文字を大きくして、その他の要素をできるだけ小さくし、余白やアソビの感じられる装飾をちょこっと施して、元気な印象の誌面を提案します。

それに対して「現状は望ましい状態ではなく、一人ひとりが気を引き締めるべき」といった読後感を設定したとすると、先のような元気な印象ではなく、計画値との比較が一目瞭然のグラフを配置し、グラフの色も計画値側を青みや緑系の色にし、実態側を赤系の色にしたりします。

このように「読後感」はグラフの色といったディテールを決定づけてしまうほどのインパクトがあるのです。

また、読後感を設定した上で、さらに具体的なイメージをデザイナーに伝えたい場合は、企画の段階で雑誌やフリーペーパーなどを用いて「こんな雰囲気にしたい」と伝えると、より一層具体的にイメージが共有できるので、こちらもおすすめです。

そして実はこの方法は業務効率といった点でも非常に有効な方法で、デザインの出し戻しなどが減るために、後工程がスムーズなりますので、デザインや業務効率に関してお悩みをお持ちの方は、是非お試しください。

コーナー名は読後感と一体化させる

ここまで企画の意図や内容に合ったデザインにする方法をお伝えしてまいりましたが、デザインと同様に企画の意図や内容を印象づけるポイントとして「コーナー名」があります。

職場紹介を例にあげると、単に「職場紹介」とすると、まるで名刺交換するような少しカタイ印象に感じてしまいますが、「職場探訪」とすると、旅雑誌のような雰囲気が醸し出せたり、「職場探検隊」とすると単なる紹介にとどまらず、普段は目にできないような、職場の裏側まで掘り起こすような印象を生み出すことができます。

デザイナーがデザインを作る際も、コーナータイトルからどのような印象のデザインが望まれているのかについてデザイナーに伝わりやすくなり、望ましいデザインになる可能性が高くなります。

さらに、誌面で大きく掲載するメインの写真についても、タイトルが職場紹介では日常的な職場の風景を掲載するだけになってしまいますが、職場探訪とすると、その職場のさまざまな場面を組み合わせたような(これをコラージュと言います)感じにしたり、あるいは職場探検隊とすると、メインの写真を大きくせずに、職場のいろいろな場面をスナップ写真のような雰囲気にしてトレジャーマップに貼り付けたような雰囲気にすることで、企画の意図に沿ったデザインが仕上がります。

先ほどデザインは読後感によって変わるというお話をお伝えしましたが、連載コーナーの場合はコーナー名の付け方が読後感のようにデザインに影響します。これを言い換えると、望ましいデザインにするためには、企画の段階でコーナー名の印象と読後感を一致させておく必要があります。

今どきのデザイン表現について

これまで企画の意図や内容とデザインの関係についてお伝えしてまいりましたが、それ以前にデザインがなんとなく古臭いとか野暮ったいと感じられている場合は、使われているフォントと段数、余白の使い方を変えてみることをおすすめします。

フォントとは文字の書体のことを言いますが、フォントはファッションと同様、トレンドがあるばかりでなく、本文のフォントは少しの違いで誌面や冊子全体のデザインの印象に大きく影響しますので、デザインがどうしても古臭いとか野暮ったいと感じ、どう変えてもそれが解消されない場合は、参考にしたい雑誌やフリーペーパーをもとに、こんなフォントにしてほしいとデザイナーに相談してみてください。

また、段数も古臭さや野暮ったさを生み出す大きな要因となります。段数とは本文が組まれている枠がページ全体にいくつあるかということなのですが、通常は四つとか五つ、つまり4段か5段で作られます。ところが冊子全体を通して3段や2段が多く使われていると、どうしても古臭く野暮ったい印象になります。

決して3段や2段を使ってはいけないわけではなく、むしろトップメッセージや年頭所感などは一定の厳かさが必要になると思いますので、その場合は3段や2段を使うべきなのですが、それ以外は4段や5段を基準にすることで、古い印象は大きく軽減されます。

余白についても同様で、ヘアスタイルでも「抜け感」がある軽やかでナチュラルな雰囲気がオシャレといった時代があったり、バブル時代のワンレングスのように黒髪ロングがトレンドといった流行があるように、誌面のデザインについても余白の使い方が時代によって異なりますので、これもまた参考にしたい雑誌やフリーペーパーをもとにデザイナーに相談することをおすすめします。

ただ、雑誌やフリーペーパーは通常、社内報と比べると本文の文字サイズが小さい場合が多いので、この点については雑誌などを完全に踏襲することは不可能なため、雑誌やフリーペーパーはあくまでもデザイナーとの意思疎通の際のコミュニケーションツールとお考えください。

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